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何からはじめる?ネットショップ・ECサイト構築に必要な準備を解説!!

昨今、自社でネットショップ・ECサイト構築をおこない、自社サイトで商品を販売する企業が増加傾向にあります。

インターネットやスマートフォンの普及により、2010年からの10年間で、EC市場規模は2.5倍近くも成長しています。

このEC市場の成長は、BtoCではもちろんBtoBでも同様にみられます。更に、EC市場は昨今の新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、店舗での売上が下がった事や非対面の販売を行う販売形態への変更などをきっかけに、ネットショップ・ECサイトの開設・運営をはじめる企業が急激に増加しました。

EC市場規模の推移グラフ
出典:経済産業省

しかし、これまでEC事業をおこなっていない企業にとっては、ネットショップ・ECを構築するにあたって「何からはじめたらいいのか?」といった疑問や不明点を抱くこともあるでしょう。

そこで今回は、ネットショップ・ECサイト構築を行うにあたって役立つ事前準備について解説していきます。

■ネットショップ・ECサイトを構築するためにおこなう事前準備

ネットショップ・ECサイトを構築するためにおこなう事前準備

(1)コンセプトを決める

ネットショップ・ECサイトを構築するためにまず行うことはコンセプト決めです。上述した通り、EC市場は年々規模が増加しており、それだけ多くのネットショップ・ECサイト、競合が存在します。

そのような中で新たにネットショップ・ECサイトを構築・運営するには、他社との差別化や付加価値を盛り込むため、入念なコンセプト決めが必要となってきます。ここでは、「何を」「どのように」「どんな顧客に向けて販売するか」サイトのデザインや全体のイメージなどを明確に洗い出します。販売側の思いだけでなく「どんなサイトなら利便性があるのか」といった顧客の立場も考え、顧客に求められるサイトになるよう、コンセプトをしっかりと決めましょう。以下ではネットショップ・ECサイトのコンセプトを決める上での考え方をご紹介します。

ジャンル

コンセプト決めは簡単に言うと、ジャンル決めとも言えます。洋服でもカジュアル・フォーマル・アウトドア・スポーツなどのジャンルがあるように、ネットショップ・ECサイトにもジャンルが必要です。

訪問者がすぐに「このネットショップ・ECサイトはどのようなジャンルなのか」をひと目で判断できるような内容でなければ、ネットショップ・ECサイトとしてイメージが薄く、埋もれてしまうからです。

競合分析

自社の強みである部分(知識・経験の豊富さ)を最大限に発揮したコンセプトのあるネットショップ・ECサイトに出すためには、同業他社ではどのようなネットショップ・ECサイトを運用しているのか調べて差別化を図るようにすることが重要です。

競合分析は既に成功しているショップから良いところを学び、自社のネットショップ・ECサイト構築に活かすことができるため、非常に有効な手段です。ライバルや競合と比べて、優位性を出せる部分はどこか、どうしたら差別化できるのかをより明確にすることができます。このような競合分析は、開業時のコンセプト決定に迷った時はもちろんですが、開業後に実際にネットショップの運営を始めた際も定期的に実施しましょう。競合の動きによって運営の方向性を変えなければならないこともるからです。

コンセプトの考え方

ジャンルとなるネットショップ・ECサイトのイメージが決まったら、その要素をどうネットショップ・ECサイトで落とし込むかを考えます。営業マンが「この商品は誰向けで、こういった特長がウリです。」と的確に伝えるように、ネットショップ・ECサイトでも、「誰に」「何を」「どうやって(他社との違い)」の3つが明確に解るようにコンセプトを考えていくことが重要です。口コミやレビューで広めるにも、どんなサイトで何を売っているか端的に説明できなければ、お勧めされた側にも伝わりません。自社の商品を求める顧客、ターゲットを絞り、そのターゲットに対して自社の強みをどう伝えるかを明確にすることがコンセプトを考える上で重要となります。

またターゲットを絞ることで、リピーターが増えることもあります。コンセプトが刺さるターゲット層を明確に絞ることで、よりお店へのファンが増えていくのです。

(2)サイトの役割と目標を決める

ネットショップ・ECサイト構築の役割説明の図

ネットショップ・ECサイトを構築する理由としては主に「既存の店舗があり、売上をあげるため」「新たに開発した商品を販売するため」「市場を広げるため」があげられます。

既存の店舗と並行してサイトを構築する場合と、新規でサイトを構築するのでは役割や戦略が異なります。また目標のないサイト運営は、売上が下がっても何をしなければならないか不透明になってしまいます。将来、サイトの規模をどれくらい拡大し、売上をどれくらいにするかなど、できるだけ目標を具体化させることが重要です。

上記のコンセプト決めの際に
・構築するサイトが自社にとってどんな役割を持たせるのか
・自社のネットショップ・ECサイトをどのようなターゲットに対してアプローチし、集
客/マーケティング/売上アップに繋げるか
・そのためにはどのような目標を段階的に設定するべきか
のような、サイトの位置づけを決めておくと良いでしょう。

また構築が終わった後も
・実際に運営がスタートしたサイトをどう成長させるか
・将来的にどういうサイトにするか
といった先の目標を決めることも重要です。これらの目標をどのように設定していくかについて、以下で詳しく説明していきます。

KGIとKPI(経営目標達成指標と重要業績評価指標)

ネットショップ・ECサイトを構築する上で、どれだけスケールさせるのかをイメージし、構築時にできるだけそのイメージを明確にしておく必要があります。

そこで明確にしたいポイントが以下の2つです。

1.売上をいくらまで伸ばしたいなど大きな目標とするKGI(Key Performance Indicator)経営目標達成指標
2.KGIを達成するために何をどう改善するかの細かいな設定を指標にするKPI(Key Performance Indicator)重要業績評価指標

大きな目標となる売上をどこまでアップさせたいのかがKGIです。まず、このKGIを設定します。そして、その目標達成のために何をどうすれば良いのかのKPIの設定をおこないます。

■売上の算出方法からKPIを設定する

ECサイトの売上を算出する計算は以下の方法で出す事ができます。

売上=月間サイト訪問者数 × コンバージョン(商品購入)率 × 平均単価

つまり月間1万人アクセスのあるネットショップ・ECサイトで、0.5%の購入率、単価平均が5,000円の場合は

10,000 (人)× 0.5 (%)× 5,000(円)=250,000(円)

と月の売上が25万円と算出できます。

コンバージョン(購入)率の算出方法は購入数 ÷ 月間サイト訪問者数で計算されます。

例えば、月間1万人の訪問者数で100個商品が売れた場合は

100 ÷ 10000 =0.01%のコンバージョン(購入)率

となります。

また、サイト訪問から商品ページまで訪れた人数、商品をカートに入れた人数などを購入者数で割ることで、それぞれのページからの購入率を出す事ができます。この算出方法で売上を更に上げたい場合は、サイトへの訪問者数を上げるために広告などで集客をおこなうか、ネットショップ・ECサイト上での見せ方を変えて平均単価をあげるといった課題が見えてきます。

そしてこの課題のクリア方法を設定することがKPIです。

KGIを達成するためのKPIを設定することで、目標達成までの道筋が明確になるので、ネットショップ・ECサイトを構築するにあたって事前に調べ、設定しておく必要あります。

(3)ネットショップ・ECサイトの構築費用を算出する

ネットショップ・ECサイトの構築費用を算出する

続いて費用の算出です。ネットショップ・ECサイトの構築に発生する費用には「初期費用」と「運用費用」があります。構築するタイプによって多少の違いはありますが、概ね以下の費用が発生します。

【初期費用】 【運用費用(固定費用)】
サイト構築 利用料金(維持費)
デザイン 人件費
サーバー設置 受発注システム
諸経費

その他集客・広告など運営をおこなう際に費用が発生します。

サイト構築費用・・・ネットショップ・ECサイトを構築するにあたって発生する費用です。後ほど説明しますが、構築するタイプによって費用が異なりますが、初期費用として発生する費用です。

デザイン費用・・・ネットショップ・ECサイトを運営する上で、必須となるサイトのデザインを、ウェブデザイナーに依頼しておこなう場合に発生する費用です。
必要に応じて商品の撮影などもおこないます。

サーバー設置費用・・・自社サーバーであっても、外注であってもネットショップ・ECサイトを運用するためにはサーバーの設置の費用が発生します。

利用料金(維持費)・・・パッケージ・自社開発で構築の場合は不要ですが、ネットショップ・ECサイトを運用する際の月額費用(年間費用)が発生します。

人件費・・・ネットショップ・ECを運用する担当者の人件費が発生します。

受発注システム・・・受発注システムとは、字の通り受注と発注をおこなうシステムです。電話・FAXなどでの受発注業務をおこなわない事で業務効率やコスト削減だけでなく、ミスを防ぐことができます。このシステムを利用する際の費用が発生します。

諸経費・・・ネットショップ・ECサイトの構築が終わり、運用がスタートして終わりではありません。集客・マーケ、広告をおこなうには費用が発生します。

それぞれ費用がどれだけ発生するのか算出することはとても重要です。構築するネットショップ・ECサイトのタイプにもよりますが、フルスクラッチ型、パッケージ型はそれなりの費用がかかりますが、最近主流となっているクラウド型、ASP型などのSaaSであれば、構築費用を抑えることができます。

(4)ネットショップ・ECサイト構築のタイプを決める

上記(3)でも触れましたが、費用の算出が終わったら自社がどのタイプのサイト構築を利用するかを決めます。構築タイプによってそれぞれ費用やサービス、メリット・デメリットが異なりますが、ざっくりと以下のように分類されます。

ネットショップ・ECサイト構築のタイプと特徴

クラウド型

クラウド型は現在EC構築で主流といえる構築タイプです。クラウド(インターネットなどのネットワークを経由して必要に応じてサービスを利用できる仕組みのこと)環境でECサイトを構築できます。システムが自動的にアップデートされるため、入れ替えの必要がなく、常に最新のシステムを利用してサイバー犯罪から自社サイトを守る事ができます

また、サイト機能やデザイン拡張が比較的容易で、フルカスタマイズできる柔軟性もクラウドならではのメリットとしてあげられます。制作期間においても1~3ヶ月程と、スムーズにネットショップ・ECサイト運営が開始できます。小規模から中規模ECサイト構築におすすめです。

ASP型

ASP型はA(アプリケーション)、S(サービス)、P(プロバイダー)の略で、アプリケーションソフトをネット経由で提供しているプロバイダを利用してネットショップ・ECサイトを構築するタイプです。ネットショップ・ECサイト構築に必要なシステムをクラウド環境で提供する面ではクラウド型と同じですが、ASP型ではクラウド型のように機能やデザインの拡張ができない、外部システムとの連携ができないことにあります。原則ASPの提供するシステム・機能を利用することになるので、他社との差別化は難しくなります。

その分構築・月額費用は安く、制作期間も1週間未満でできるところもあります。(このようなクラウド環境でおこなえる構築はクラウド型・ASP型を一括りにしてSaaS(Software as a Service)と呼ばれています。)ASP型ははじめてのネットショップ・ECサイト構築におすすめのサービスです。ASPの提供会社は数多くあり、契約期間が短いものも多数あるので、いくつかのASPを短期間利用して比較検討するのも良いでしょう。

パッケージ型

パッケージ型はネットショップ・ECサイトのシステム・機能の独自カスタマイズが可能な構築タイプです。拡張性も高く、基本的にどんなカスタマイズも出来ます

ただし費用が高く、クラウド型やASP型のようにシステムのアップデートができないため、どんどん古くなってしまうのがデメリットです。ある程度コストがかかることから中〜大規模のECサイト構築におすすめです。

フルスクラッチ(自社開発)型

フルスクラッチ型とは、完全に自社独自のネットショップ・ECサイト構築を行うタイプになります。自由自在に0から構築できるため、「他社にはないこんな機能がほしい」「自社にしかできないこんな機能がある」のお悩みの方にはおすすめです。

ただしその分、構築までの時間を要する事と、構築したシステムが古くなってしまった場合、また時間と費用をかけて再構築することになるデメリットもあるため、大規模ECサイトの構築におすすめです。

結局どのタイプがベスト?

上記のように費用面はもちろん、メリット・デメリットを見てもわかるように、昨今急増しているネットショップ・ECサイトはクラウド型・ASP型のSaaSのタイプでの構築が主流となっています。「それならSaaSで構築すれば間違いない?」というわけでもありません。自社の目標やサイトを将来的にどのようにしたいかによってどのタイプで構築することがベストなのかは変わってきます。

他社や構築タイプにない唯一無二のサイトを構築したいのであれば、SaaSでは実現できないのでフルスクラッチが一番適しています。前述したように費用感が各サービスによって大きく異なるので、運営資金と相談してサイトイメージにより近いものが作れるサービスを選ぶと良いでしょう。

ECサイト・ネットショップ制作会社の選び方

ECサイト・ネットショップ制作会社の選び方

利用する構築タイプが決まったら、制作会社の選定を行います。しかし多数のECサイト・ネットショップ制作会社があり、どこが良いのか迷ってしまいますよね。構築タイプによっても変わりますが、ECサイト・ネットショップ制作会社を選ぶ際には以下のポイントを見ておきましょう。

ECサイト・ネットショップ制作会社が対応している範囲を確認

ECサイト・ネットショップは構築して終わりと言うわけではなく、実際に運営を行っていかなければなりません。運営を続けていると「このデザインを変えたい」「この機能を追加したい」などの要望が出てくることもあります。制作会社によっては構築のみしか受け付けていない場合もあり、別途制作会社を探すことになりかねません。

ECサイト・ネットショップ制作会社に依頼する際には、構築までの対応なのか、商品が増えたときやカスタマイズをしたい時にも対応してくれるのかなど、制作会社がどこまで対応してくれるのかを見ておきましょう。

価格は適正かどうか

ECサイト・ネットショップの構築費用はなるべく抑えたいですよね。しかし、安さだけに注目するのはおすすめできません。構築後に「自分の意図しているECサイト・ネットショップではなかった…」という残念な結果に終わることもあります。

ここで注目したいのは制作会社や担当者が自分のECサイトに対するイメージなど、しっかりと話を聞いてくれるかどうかという点です。また進捗やスケジュールなどを都度確認できるような体制であれば齟齬がなくなります。このように、自分のECサイトを構築するための目的や目標をしっかりと聞き取ってくれるかどうか、どのような進め方なのかは確認しておきましょう

構築したいECの役割・目標・将来を明確にする

今回、ネットショップ・ECサイトを構築するために必要となる事前準備について解説しました。

既存の店舗に加えてECを導入する場合、店舗販売からEC販売へ切り替える場合、開発した商品をECで販売する場合などECサイトを構築する目的は様々です。また、EC構築もSaaSやパッケージ、フルスクラッチなど選択肢があり、目的や将来どのようなネットショップ・ECサイトにしたいかによって正解も変わってきます。

KPIを設定するにあたって、購入率をあげるためにシステムや機能を拡張したくても構築タイプによってできないといった事態にもなります。制作会社を選定する前に、自社の状況やこれからの目標、ネットショップ・ECサイトにどんな役割になるのか、理想を明確にしておくことが大事です。

最後までお読みいただき、誠にありがとうございます。本記事がネットショップ・ECサイトの構築の参考になれば幸いです。