IT導入補助金 2021│ 交付対象 となる事業と条件を徹底解説
IT導入補助金は 交付対象 となる事業が定められた条件をクリアしていることで交付される補助金です。
お客様から補助金(助成金)の交付について「どんな事業が対象なの?」「自社が導入を予定している事業は対象になる?」「対象外となる項目はある?」といった声もよくあがります。
そこで今回はIT導入補助金のIT導入補助金の概要をはじめ、 交付対象 となる事業や条件に関して解説していきます。
IT導入補助金 の 交付対象 事業と条件
IT導入補助金 は大きく3つの種類に分かれており、中小企業・小規模事業者等が生産性向上のためのITツール(ソフトウェア、サービス等)を導入する際、事業費等の経費の一部を補助等する(通常枠:A・B類型)と新型コロナウイルスの感染症拡大に伴う新しいビジネスモデルへの転換に向けて、労働生産性の向上と感染リスクを下げることを目的としたITツール(ソフトウェア、ハードウエアレンタル)の導入で非対面化に取り組む中小企業・小規模事業者を対象に導入費用の一部を負担する特別枠(C・D類型)があります。
以下画像のように類型によって補助額・補助率はもちろん、プロセス数やツール要件(目的)等異なります。
今回は「C類型」補助金交付の際にどんな事業が対象で、どんな条件があるのかを徹底解説していきます。
IT導入補助金 を交付してもらうには定められた内容、手順で申請をおこないますが、まず導入する内容が IT導入補助金 の対象となるかの確認をおこなわなければなりません。
導入内容を決めたは良いけど、申請してみたら対象でなかったとならないようにしましょう。
この対象確認の解説は少し長くなりますので、リスト化して一つ一つ条件を満たしているかをチェックしていくのも良いかもしれません。
IT導入補助金2021のC類型における補助対象者は、中小企業であることが前提ですが、具体的な条件やおこなうべき必須項目をみていきます。
IT導入補助金 の 交付対象 となる業種・組織形態
業種・組織形態 |
資本金 | 従業員 | |
(資本の額または 出資の総額) |
常勤 | ||
資本金・従業員規模の一方が、右記以下の場合対象(個人事業を含む) |
製造業、建設業、運輸業
|
3億円 | 300人 |
卸売業 | 1億円 | 100人 | |
サービス業(ソフトウエア業、情報処理サービス業、旅館業を除く) | 5,000万円 | 100人 | |
小売業 | 5,000万円 | 50人 | |
ゴム製品製造業(自動車又は航空機用タイヤ及びチューブ製造業 並びに工業用ベルト製造業を除く) |
3億円 | 900人 | |
ソフトウエア業又は情報処理サービス業 | 3億円 | 300人 | |
旅館業 | 5,000万円 | 200人 | |
その他の業種(上記以外) | 3億円 | 300人 | |
その他の 法人 |
医療法人、社会福祉法人、学校法人 | - | 300人 |
商工会・都道府県商工会連合会及び商工会議所 | - | 100人 | |
中小企業支援法第2条第1項第4号に規定される中小企業団体 | - | 主たる業種に記載の従業員規模 | |
特別の法律によって設立された組合またはその連合会 | - | 主たる業種に記載の従業員規模 | |
財団法人(一般・公益)、社団法人(一般・公益) | - | 主たる業種に記載の従業員規模 | |
特定非営利活動法人 | - | 主たる業種に記載の従業員規模 |
業種分類 | 従業員 |
常勤 | |
商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く) | 5人以下 |
サービス業のうち宿泊業・娯楽業 | 20人以下 |
製造業その他 | 20人以下 |
IT導入補助金の交付条件
①事業対象は国内事業であることが条件
交付申請時点において、個人・法人且つ事業が日本国内で登録、事業をおこなっていること。
②交付対象となる賃金に関しての条件
交付申請の直近月において、申請者事業場内の最低賃金が地域別法令上の最低賃金以上であること。
③gBizIDプライムアカウントの取得をしている
補助金の申請は「gBizIDプライムアカウント」がなければおこなえません
交付申請の要件には「gBizIDプライム」アカウント(ID・パスワード等)が必要となります。
gBizIDプライムをお持ちでない場合は「gBizID」ホームページより取得をお願いいたします。
※gBizIDプライムアカウントID発行までの期間は、おおむね2週間となっております。早めの申請手続きをお願いします。
※発行までに2週間ほどの期間を要するので、早めに取得をおこなうことをお勧めします。
引用元:「一般社団法人 サービスデザイン推進協議会」様
gBizIDプライムアカウントの取得はコチラのページの「gBizIDプライム作成」よりおこなえます。
また、「IT導入補助金│gBizID(ジービズアイディー)プライムアカウントの取得方法5ステップと使い方」にてgBizIDのアカウント作成に関しての解説をおこなっております。
④セキュリティアクションの宣言をしている
簡単に言えばIT導入補助金を使ってITツールを導入するにあたって「セキュリティ対策に取り組みます」という宣言です。
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施するセキュリティ対策に取り組むことを宣言すると同時に、事務局が同機構と一部の交付申請情報を共有することに同意が必要です。
セキュリティアクション宣言の流れ
出典:『独立行政法人情報処理推進機構』様
セキュリティアクションの宣言方法の手順の詳細はコチラでご確認いただけます。
セキュリティアクションの宣言に関する詳しい解説は「IT導入補助金でECサイト制作│ セキュリティアクション の宣言方法」をご参照ください。
⑤必要な情報入力と提出
先に解説したgBizIDプライムでIT導入補助金の交付申請に必要となる情報を入力し、これを必ず提出しなければなりません。
・携帯電話番号の登録
1申請事業につき、1台の携帯電話番号を登録。
登録した携帯電話でSMSを利用し、申請に必要なパスワードなどの通知をおこないます。
また、事務局からの連絡にもこの携帯電話を使って応じることになります。
・労働生産性向上の目標を作成
補助事業の実施により、労働生産性 が「1年後3%以上」「3年後9%以上」及びこれらと同等以上と伸び率向上の数値目標を作成すること。
※粗利益(売上-原価)(従業員数×1人当たり勤務時間(年平均))により算出された値
・事務局への報告
IT導入支援事業者と商談・確認を行い、生産性向上に係る情報{売上、原価、従業員数及び就業時間、給与支給総額(※)、事業場内最低賃金(事業場内で最も低い賃金)}などを事務局に報告すること。
※給与支給総額とは、全従業員(非常勤を含む)及び役員に支払った給与等(給料、賃金、賞与及び役員報酬等は含み、福利厚生費、法定福利費や退職金は除く)をいう。
引用元:『一般社団法人 サービスデザイン推進協議会』様
・IT導入補助金交付目的・利用に同意
事務局に提出した情報は、事務局から国及び中小機構に報告するとともに、事務局、国及び中小機構(各機関から委託を受ける外部審査委員や業務の一部を請け負う専門業者等を含む)が以下の目的で利用することに同意すること。
引用元:『一般社団法人 サービスデザイン推進協議会』様
※目的7項目
- 本事業における審査、選考、事業管理のため
- 本事業実施期間中、実施後の事務連絡、資料送付、効果分析等のため
- 統計的に集計・分析し、申請者を識別・特定できない形態に加工した統計データを作成し、公表すること(交付規程に規定する事業実施効果の報告の内容は除く)
- 各種事業に関するお知らせのため
- 法令に基づく場合
- 人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、申請者の同意を得ることが困難であるとき。
- 事務局、国及び中小機構が本事業の遂行に必要な手続き等を行うために利用する場合
引用元:『一般社団法人 サービスデザイン推進協議会』様
⑥調査の協力
特段の事情がない限り協力をする。
事例の公開内容や公開範囲は個別で都度合意を得てからおこないます。
⑦申請マイページの徹底管理
事務局より付与される申請マイページを使用して事業に係る各種手続きをおこなう上で、ログインID、パスワードをIT導入支援事業者を含む第三者に渡さない。
※この申請マイページとはgBizIDプライムの申請マイページを指します。
⑧事業に支障をきたす問題を抱えていない
訴訟や法令遵守上において、本補助事業に支障をきたす問題をかかえていないこと。
⑨事業内容が交付対象外ではない
冒頭に解説した通り、IT導入補助金交付は交付対象外の事業でないことが条件です。
C類型におけるIT導入補助金の交付条件
IT導入補助金 C類型において、遡及申請可能期間にITツールの契約をおこない、申請をする者については、該当内容が特別枠の意図する新型コロナウイルスが与える影響を乗り越えるために必要不可欠な緊急のIT投資等であることが条件です。
上記全ての要件に加えて、本事業に申請しようとする者は以下の要件を全て満たす3年の事業計画を策定し、それらを従業員に表明していなければなりません。
・事業計画期間において、給与支給総額※1を年率平均1.5%以上増加(被用者保険の適用拡大の対象となる中小企業・小規模事業者等が制度改革に先立ち任意適用※2に取り組む場合は、年率平均1%以上増加)
・事業計画期間において、事業場内最低賃金(事業場内で最も低い賃金)を地域別最低賃金+30円以上の水準にする
※1 給与支給総額とは、全従業員(非常勤を含む)及び役員に支払った給与等(給料、賃金、賞与及び役員報酬等は含み、福利厚生費、法定福利費や退職金は除く)をいう。
※2 被用者保険の任意適用とは、従業員規模51名~500名の企業が短時間労働者を厚生年金に加入させることを指す。
※3 今般の新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事業者(低感染リスク型ビジネス枠の事業者)については補助事業実施年度に感染症の影響を受けることを想定して、上記の賃上げ目標を据え置きし、その翌年度から3年の間にこの目標値を達成する計画とすることが可能。加えて、以下に同意の上、事業計画を策定・実行すること。
・申請時点で、申請要件を満たす賃金引上げ計画を従業員に表明することが必要。交付後に表明していないことが発覚した場合は、補助金額の返還を求める。
・なお、財産処分や収益納付等も含め、補助金等の返還額の合計は補助金交付額を上限とする。引用元:『一般社団法人 サービスデザイン推進協議会』様
・IT導入補助金交付後の注意点
IT導入補助金は交付されて全て終わりではありません。
ITツールの導入、補助金の交付がされてから以下の2点に注意してください。
1.給与支給総額の増加目標が未達の場合
450万円の補助金を交付してもらう場合は賃上げが達成課題として必須となります。
事業計画終了時点で給与支給総額が年率平均1.5%以上増加の目標を達成できなかった場合は、補助金の全額もしくは一部の返還を求める場合があります。
以下に具体例をまとめましたのでご覧ください。
・補助金交付額が最大の450万円で目標未達の場合の返還額
A・3年度目で未達の場合
効果報告年度 | 1年度目 | 2年度目 | 3年度目 | 4年度目 |
事業実施効果 報告対象期間 |
2022年4月1日~ 2023年3月31日 |
2023年4月1日~ 2024年3月31日 |
2024年4月1日~ 2025年3月31日 |
2025年4月1日~2026年3月31日 |
事業実施効果 報告期間 |
2023年4月~ 2023年5月 |
2024年4月~ 2024年5月 |
2025年4月~ 2025年5月 |
2026年4月~2026年5月 |
返還額 (返還率) |
/ | / | / | / |
賃上げ目標達成/未達成 | / | / | 未達 | / |
この場合、返還を求めず4年度目の報告を求めることになります。
B・4年度目で未達の場合
効果報告年度 | 1年度目 | 2年度目 | 3年度目 | 4年度目 |
事業実施効果 報告対象期間 |
2022年4月1日~ 2023年3月31日 |
2023年4月1日~ 2024年3月31日 |
2024年4月1日~ 2025年3月31日 |
2025年4月1日~ 2026年3月31日 |
事業実施効果 報告期間 |
2023年4月~ 2023年5月 |
2024年4月~ 2024年5月 |
2025年4月~ 2025年5月 |
2026年4月~ 2026年5月 |
返還額 (返還率) |
/ | / | / | 450万円 全額 |
賃上げ目標達成/未達成 | / | / | 未達 | 未達 |
3年度目に続き、4年度目も未達の場合は上記のように全額返還を求められます。
※付加価値額が目標通りに伸びなかった場合に目標達成を求めるのは困難です。
給与支給総額の年率増加率の平均が「付加価値額の年率増加平均/2」を超えている場合、天災など不可抗力な場合は一切の返還を求められません。
また、給与支給総額を用いることが適切ではないと判断される特別な事情がある場合は、この給与支給総額増加率に代えて一人あたりの賃金増加率を結果として用いることを認められます。
2.事業場内最低賃金の増加目標が未達の場合
事業計画中の毎年3月時点にて、目標とする事業場内最低賃金の増加目標が達成できていない場合は、補助金全額、もしくは一部返還を求められます。
ただし、付加価値額増加率が1.5%に達しない場合、天災など不可抗力により事業者の責めに負わない理由などがある場合は、一部返還は求められません。
※この場合付加価値額は粗利益を指します。
IT導入補助金の 交付対象 外となる特例
上記の要件を抜かりなく満たしている場合であっても、以下の9項目のいずれかに該当する場合は補助金交付対象外となりますので、こちらもご注意ください。
1.以下の①~⑥のいずれかに該当する場合
①発行済株式の総数又は出資価格の総額の2分の1以上を同一の大企業が所有している中小企業・小規模事業者等
②発行済株式の総数又は出資価格の総額の3分の2以上を大企業が所有している中小企業・小規模事業者等
③大企業※の役員又は職員を兼ねている者が、役員総数の2分の1以上を占めている中小企業者
④発行済株式の総数又は出資価格の総額を①~③に該当する中小企業・小規模事業者等が所有している中小企業・小規模事業者等
⑤①~③に該当する中小企業・小規模事業者等の役員又は職員を兼ねている者が役員総数の全てを占めている中小企業・小規模事業者等
⑥確定している(申告済みの)直近過去3年分の各年又は各事業年度の課税所得の年平均額が15億円を超える中小企業・小規模事業者等
※大企業とは、上記の表に規定する中小企業者以外の者であって、事業を営む者をいいます。
ただし、次のいずれかに該当する者については、大企業として取り扱わないものとします。
・中小企業投資育成株式会社法に規定する中小企業投資育成株式会社
・投資事業有限責任組合契約に関する法律に規定する投資事業有限責任組合
2.IT導入補助金2021において「IT導入支援事業者」に登録されている事業者
昨年度以前の事業にて登録されている場合は除きます。
IT導入支援事業者の代表者及び役員の経営する企業等が、補助事業者として申請を行った場合、その申請は無効となります。
3.経済産業省から補助金等指定停止措置または指名停止措置が講じられている事業者
4.風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律第2条に規定する「風俗営業」、「性風俗関連特殊営業」及び「接客業務受託営業」を営む事業者(旅館業法第3条第1項に規定する許可を受け旅館業を営む事業者(風俗営業等の規制及び業務の適正化に関する法律第2条第6項に規定する店舗型性風俗特殊営業を営むものを除く)を除く。)
5.過去1年において、労働関係法令違反により送検処分を受けている事業者
6.暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律に規定する暴力団等の反社会的勢力に関係する事業者
7.宗教法人
8.法人格のない任意団体
例:同窓会・PTA・サークル等9.その他、本事業の目的・趣旨から適切でないと経済産業省及び中小機構並びに事務局が判断する者
引用元:『一般社団法人 サービスデザイン推進協議会』様
IT導入補助金 の交付対象 や条件はリスト化して確認する
非常に長くなりましたが、以上が IT導入補助金 交付の対象事業とその条件となります。
項目の確認だけでなく、gBizIDプライムアカウント作成やSECURITY ACTIONの宣言手続き、事務局への報告など実際に実行しなければならない項目もあります。
重ねての記述となりますが、今回解説しましたIT導入補助金交付となる対象・条件、作成など実行しなければならない項目をリスト化して一つ一つ条件を満たしているか、実行する項目を終えたかのチェックをしていくことを推奨します。
特にgBizIDプライムのアカウント発行には2週間ほどの期間を要します。後から忘れていたといった事態にならないように効率よく項目を確実にクリアしていきましょう。